壁についてる黒いシミのお話し
この壁のシミに見覚えありませんか?もしご自宅の部屋にあったら、それは要注意です。一体、このシミはなんでしょう?
壁の汚れ?
まさかこんなところに、醤油をこぼしてしまう人はいませんね。
たばこのヤニ?
ピンポイントで天井付近に煙を吹き続ければ可能かもしれませんが、きっと茶色く変色します。
カビ?
「ファンヒーター使ってたから、カビかも」と、半数以上のお客様はいいます。
正解!カビです。
でもなぜかピンポイントにカビ。
なぜでしょう?
分かりやすい写真がこちら。以前うかがったお宅の工事中の実際の写真です。
右.タンスの裏だったから黒くカビているわけではありません。
答えは、断熱欠損です。
左は断熱材が入っている壁です。右はなぜか断熱材が全く入っていません。断熱材がないため、冬場、壁の中の空気がもろに外気温で冷やされます。室内側は暖房であったかいはずです。壁の仕上げ面で結露が生じてしまいます。冷たい飲み物の入ったコップの外側に水滴がつく、アレです。それがもととなりカビが発生していたと思われます。
ということで、最初の写真の天井付近の一部分だけ黒ずんだ壁のカビも、原因はきっと断熱欠損です。というか、そうなんです。
見事に付近だけ、なぜか断熱材がないのがわかると思います。きっと当時、リズミカルに作業をこなしているとき「大きいまま入んないから、どっかでハンパ出てきたら入れよう。あとまわし、あとまわし。」とどんどん先へ進んで...入れ忘れちゃった。のでしょう。なんとなく推測できてしまうだけに、心が痛いです。当時の現場のミスです。気を付けなければいけません。
ちなみにこちらの現場のお客様は、壁紙の重ね張りを希望していました。「きっと断熱材入ってないから繰り返しですよ」ということを説明し、一部分だけ壊させてもらい、壁内部の状況(写真の様子)に驚かれていました。当然、断熱材充填し既存断熱材も交換しました。(気密の話はまた別なので、ここではおいときます)
このように、いくら数十年前の今と比べて性能の低い断熱材だとしても、これだけ差が出るということです。「昔の断熱材だから、入ってても入ってなくてもかわんねー」なんてことは無いのです。熱の伝わりを防ぐという意味では、ある程度の効果はある(0ではない)ということです。
「でも、所詮昔の断熱でしょ?」
たしかに。同感です。
数十年前の一般家庭によく見られるグラスウール断熱材はスカスカです。断熱材の種類や工法にもよりますが、最近の住宅の断熱効果が羽毛布団だとしたら、数十年前の一般家庭の断熱効果はガーゼのようなものです。当時の壁の中の断熱材は、入っていればいいや的に外壁の隙間にとりあえず納められてるだけです。
この写真は断熱材の違いです。呼称値の断熱材厚さはどちらも同じ。ただし密度が違います。左の新しいほうが2倍以上の密度です。ビッシリ感が倍以上です。
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施工する側としては、このようにミスが起きないよう気を付けなければいけません。いくら高性能な断熱材をチョイスしても、施工がなっていなければ、まったく意味あがりません。穴あきのダウンジャケットに包まって「寒いよー」って事にならないためにも、十分気を付けなければいけません。(自分)
そして、もしあなた、自宅で「うわー、カビてるよ~」なんてゴシゴシ掃除しているとしたら、ゴシゴシする前に「ナゼナノ?」と考えてみてください。必ず原因があります。
by iwamurakensyo | 2013-11-14 01:21 | エトセトラ