しがもり(すがもり)
真冬になんで雨もり!?天気いいはずだよ?
すごい、ダラダラなんだけど!
この時期の天気の良い昼下がりなんかに起こる雨漏りが、いわゆる「しがもり」とこのへんの横手では言う現象です。標準語(?)として検索する場合は「すがもり」でいろいろと説明が出てきますが、あえて地元密着、ここでは「しがもり」です。
こないだ雪下ろしの依頼をうけて向かった屋根でわかりやすい状態を見つけたので、こちら。
軒先屋根の上についている雪止めを下から撮っています。見事に雪止め金具に氷がへばりついております。
これは、屋根に積もった雪が溶けだし、気温が低下した時に屋根面付近で氷った氷の塊です。
こちらが金具付近のアップ
わかりやすい状況です。ビッタリと金具にへばりついている氷がわかります。
溶けた雪が水になり、ここで氷となり…を繰り返して上の写真のように、見事に雪止め金具の部分で氷が成長します。
そしてこの氷が、後から溶け出してくる水を堰き止めてしまう、ダムの役割を果たしてしまうのです。
せき止められた水は、この氷の上の方にたまってしまうのです。
・・・
屋根材は、水が上から下へ流れるときに家の中に水が侵入しないように施工されています。通常の雨であれば降った分だけ屋根材を伝わり下へ流れるので、穴が開いていたり、余程の施工不良がなければ問題はありません。
が、写真のように雪止め金具に氷が固まって溶けた水をたくわえてしまうと、水は下へ流れず屋根材と屋根材のジョイントの隙間を横走りします(経験上、だいたいそう)。そして、あるウィークポイントのところから一気にダムの水が抜けて屋内へと流れ出してしまいます。
ちょうどその真下にいると
「ボタボタボターっていきなり音がして壁ビショビショなっちゃったんです」
ってことになっちゃうのです。
一報を受け即向かうも、屋根は滑りやすくなっていてハシゴかけて調査はなかなかできません。もし出来たとしても、溜まった水はなくなっているし、ホースで雨漏り付近の屋根にかけてみても雨漏りはわかりません。屋根裏には雨漏りした痕跡はあるのですが、屋根材に問題はなく損傷の原因なども見当たらない…
という、不思議だね〜っていうのが、「しがもり」なのです。
ベテランの話や自分の経験からすると、だいたいこんな時、こんな屋根は危ないです。
・夜に気温が0℃を下回り、日中に天気の良い日が続くころ
・30年ノーメンテの屋根の雪止め金具が錆びついてる屋根
・屋根の塗装は頻繁に行っているが、雪止め金具の下は錆びている屋根
また、
・横葺きは起こりやすく、縦葺き(瓦棒葺き)はあまり起こりません。
立平ロック葺き、S&Wなどはまず聞いたことはありません。
・雪下ろしを頻繁に行っている屋根は起こりにくい
・気づかないけど、屋根裏を覗いてみると実は起こっていた痕跡があったりもする
雪国の家を考えるのは、特殊事情も十分わかってないといけないのです。
といってわかっているベテラン屋根板金屋さんいわく
「しがもりするかもよ。それでもいいが?」
「それは困るから、対策ある?」
「対策できるけど、もしかしたらだけど、大雨の時に逆に雨漏りするかもよ」
「それは困るよ」
「この屋根は、ちゃんと雪下ししてやらねばダメだ。せば大丈夫だ。」
「んん〜」
常にもっといい方法はないかと独自で試行錯誤しているベテランでも頭を悩ます、しがもり。
氷をかち割るだけでも防げます。一度ご確認を。
by iwamurakensyo | 2016-02-03 05:57 | 雪おろしとか